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  「秋風にコスモスゆれてコンサート」
 
気の早い秋の虫たちが草むらで鳴き始めました。
 さて、桜の庄兵衛の秋はタンゴのリズムで始まります。
 タンゴはお好きですか。
 踊り出したくなるような歯切れの良いリズムがいいですね。
 情熱的で自由奔放なところはないものへのあこがれでしょうか。
 今回は特別ゲストとして「黄金の左腕を持つバンドネオン奏者」
 といわれている門奈紀生さんをお迎えできることになりました。
 5人の美しきタンゲーラ達の神秘と魔性?!怖いけれど聴いてみたい!!
2009年9月27日(日) 出演者 プログラム

☆9月27日(日)

昼の部 
13時開演 (12時半開場)


夕の部 
16時半開演(16時開場)

バイオリン 麻場利華・木村直子
ピアノ 平花舞依
バンドネオン 田中香織
コントラバス 滝本恵利


スペシャルゲスト
バンドネオン 門奈紀生

ラ・クンパルシータ
リベルタンゴ
カフェ・ドミンゲス
タンゲーラ
ガウチョの伝説
ほか
プロフィール
★アストロリコ・レディース「タンゴ・アルコイリス」 ~女神たちのタンゴ~


バンドネオンの名手門奈紀生率いる我が国屈指のタンゴ楽団「オルケスタ アストロリコ」のタンゲーラ達から成るユニット。母体であるアストロリコは、豊かな天体、リッチで素晴らしい天体という意味。ということで、その美しい天体にかかる虹をイメージして名付けられました。アルコイリスとはスペイン語で「虹」という意味です。そして、アルコは弓を意味し、イリスは虹の女神の名前でもあります。

アストロリコのリーダーでアルゼンチンでも人気の高いバンドネオン奏者、門奈紀生(もんな としお)氏は、本場で「奇跡」と驚嘆されたブエノスアイレスの心を表現できるタンゴ演奏家。その門奈紀生の元で研鑽を積んだメンバーが、
真っ正面からタンゴに取り組みます。

神話の女神は、実に人間的な面を持っています。優しくエレガントな面、そして、ときに鋭く、激しい。神秘と魔性は、背中合わせ。まさに、タンゴそのもの。女神たちのタンゴをお楽しみください。


アストロリコ HP
秋風にコスモスゆれてコンサート~タンゴの響きに酔いしれて               梅沢 英
  タンゴの演奏がある、と聞いて、また庄兵衛さんちの空間にうずくまってみたくなった。気がつけば6年ぶり、でも悠久の生命を持つ庄兵衛さんにしてみたら、そんな年月はひと呼吸するほどのわずかな時間だ。奥野さんご夫妻、スタッフのみなさんともども温かい雰囲気で迎えてくださって、ちっとも変わっていないのが嬉しかった。
 私にとって、タンゴといえばバンドネオンであり、真っ先に思い浮かぶのが亡きピアソラ。生の姿を見る機会は逸してしまったけれど、暗い部屋で、わずかに差す光だけを頼りに、孤独をかみしめながら一心に弾く、という峻厳なイメージがある。しかし、この日現れた「アストロリコ」のメンバーは、バイオリン兼トーク担当の麻場利華さんをはじめ、バイオリンの木村直子さん、ピアノの平花舞依さん、バンドネオンの田中香織さん、コントラバスの滝本恵利さんら、華やかな「きれいどころ」ぞろい。いきなりピアソラの名曲「リベルタンゴ」を奏で始めた。弦楽器のなめらかな音色は風が吹き抜けるようで、一瞬にして哀愁の世界に心さらわれる。激情あふれるピアノも、力強く新鮮。バンドネオンはエッジのきいたリズムを刻む。これぞピアソラ、という切ない空気にすっぽり包まれた。
 一説にピアソラは「登場するのが20年早すぎた」といわれる異端児らしく、ほかのタンゴとは一線を画す。彼の曲は、リズムやテンポがうねるように変わり、不協和音も味方にして荒技でねじ伏せる趣がある。踊るためではなく、ただただ魂を預けて聴く音楽だ。いっぽうオーソドックスなタンゴのナンバーは、心浮き立つリズムを伴い、メロディーが放たれたとたんに体が動き出しそうになる。体をぴったり寄せた男女が、背筋を伸ばしてきびきびと踊る姿を思い浮かべずにはいられない。この日のライブは、ピアソラだけでなく、さまざまなタンゴの名曲を聴ける、バラエティーに富んだラインナップだった。
 麻場さんの話によると、「アルゼンチンでタンゴが流行したのは、1940年代。北半球では戦争で人心がすさんでいたころ、地球の反対側ではこんな音楽が生まれていたんです」。
 「南米のパリ」といわれたブエノスアイレス。「下町の月」という曲は、確かにパリのミュゼットのような洒落た味わいがある。しかしタンゴは、より泥臭く、生身の肉体からほとばしるような力強さがあり、色彩が鮮やかだ。それは、つねに政治の荒波に翻弄されてきた「『エビータ』の国」の歴史によるものだろうか。栄華の真紅と、暗闇の漆黒。自ら主張し、互いの存在を際立たせる赤と黒は、この日の衣装にも使われ、まさにタンゴを体現していた。
 それにしても、なまめかしく、しなやかな音を奏でるバイオリンは、生きているかのよう。ときには弦をひっかいて調和を破り、ドキリとさせる。この「アストロリコ」を率い、日本のバンドネオンプレイヤーの第一人者として活躍してきた門奈紀生さんとは、いったいどんな人なのだろう。スペシャルゲストとして登場した門奈さんは、スレンダーな体に穏やかな微笑みをたたえ、寡黙で、まるで学者のような知的な風貌。「ギラギラ光線を発している人かな」という想像はあっけなく覆され、そのたたずまいには、タンゴへの情熱と若いミュージシャンを育て上げた慈愛がにじみ出ている。
  「タンゴ好きなお嬢さん」という意味の曲「タンゲーラ」には、「荒城の月」に似た旋律が違和感なく織り込まれ、日本とアルゼンチンは同じ感性を宿しているのだと思った。だからこんなに門奈さんたちをとらえ、私たちの心に滑り込んでくるのかと。
 「アストロリコ」とは、スペイン語で「豊かな、美しい宇宙」。この日、庄兵衛さんちに集まった私たちも、いながらにして遥かな宇宙へ旅をした。麻場さんの抱腹絶倒のトークと、心づくしの栗のお菓子を道連れに。