| 「万緑に抱かれる日のコンサート」 | |||||||||
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| ご案内 | |||||||||
| 初夏の線に包まれた桜の庄兵衛に「左手のピアニスト」智内戚雄さんをお迎えします。 「ピアニストの第2の病気」といわれるジストニアが智内さんに発症したのは、国際コンクールで人質を重ねるようになったころ。 深い絶望の中で左手のために作曲された、多くの名曲の存在を知りそれらを紹介することをライフワークにする決意をされました。 「これが本当に左手一本で?」と思わせるほどのテクニックには驚嘆するばかりです。 「“左手のピアニスト”をハンディとするのではなく、“左手のみの演奏の素晴らしさ”をすっと自然に、皆さまの心深くにお届けしたいと願っています。」とのメッセージをいただきました。 智内さんの左手から広がる無限の音楽世界にご期待ください |
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| 智内威雄/プロフィル 画家の父と声楽家の母のもとに生まれ、3歳からピアノを始め、7歳より小林出氏に師事。 16歳より前島園子氏に師事。 東京音楽大学付属音楽教室、東京音楽大学付属高等学校ピアノ演奏家コースを経て、東京音楽大学ピアノ演奏家コースを卒業。 高校に在学中からイタリア・ドイツ・オーストリア等に短期留学をし、大学卒業後はドイツ・ハノファー音楽大学に留学。E.s.ネックレベルク氏に師事し、研鑽を積み、マルサラ国際コンクールにて3位入賞など、数々のコンクールに入賞受賞。 同大学在学中にジストニアが発症し、大学を休学しリハビリを開始する。その後、左手のピアニストとしての演奏、勉強を開始し、左手のみで行った室内楽の卒業試験では満場一致の最優秀成績を収めた。 06年3月に広島交響楽団とラヴェルの「左下のための協奏曲」を共演し、観衆はじめ共 演指揮者から絶賛される。07年7月に関西テレビ製作のドキュメンタリー番組「心に響く命の音・左手のピアニスト智内戚雄」が放送された。 |
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| 万緑に抱かれる日のコンサート」に参加して・・・ 村上栄子 | |||||||||
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門から一歩足を踏み入れたとたん、まるで別世界の空間に迷い込んだような、それは正に“万緑に抱かれた”感がいたしました。奥野様ご夫妻、スタッフのみな様の温かな笑顔に迎えられ、これからはじまるコンサートを座布団に正座というスタイルで、ちょっとした興奮と密やかな期待感を持って待ちました。縁側からは、緑の木々を通り抜けたやさしい風が包み込んでくれます。そしていよいよコンサートのはじまりです。 智内さんがさわやかな笑顔でゆったりと現われ、まず“北欧の神の森”を材題にしたメリーゴーランド風の小品を弾かれ、会場は軽やかなあたたかい空気が一気に広がりました。音響効果を上げるための障子が閉められ、空調が入りましたが、天井のはり(木)壁(土)障子(紙)に囲まれていると不思議と緑の木々に囲まれている感じがして、これから始まる演奏にワクワクとした期待感が会場全体にただよっていました。私はこれまで智内さんのコンサートは何度も聞かせて頂いていますが、今回のような江戸時代からの純日本家屋での演奏会は初めてで、彼がこの空気を感じつつどういう演奏をされるか、とても楽しみでした。 最初に、ワルツポエムという静かな落ち着いた曲をさりげなく弾かれて後、実はこれは演奏するのはたいへん難しい曲だとか・・・「僕は苦闘していました!」と軽妙なユーモアを交えながら、曲の解説も語りつつ進められます。シュールホフの組曲の中の「エアー」はまるで日本のわらべうた風の曲でその場の空気にスーッと溶け込んでいました。前半最後の「魔王」の演奏では、空調の風で楽譜がめくれるため、クーラーを一時切ることになり熱い中での“熱い魔王の演奏”がされ、その力強さに圧倒されました。 休憩時間は前半の余韻を残しつつ、思い思いの場所でお茶と手づくりの和菓子を楽しみました。 後半は吉松隆のタピオラ幻景より光と水を表現した曲で、庭の木々の光の変化を感じ、様々な水の流れを想像し、ひととき自然の中に抱かれた時間でした。続いてのスクリャービンの「前奏曲と夜想曲」は、彼が右手にジストニアを発症し、自分の演奏のために作曲した左手のための作品で、智内さんも同じ病気に冒され左手の演奏家として活躍を始めて最初に弾いた曲であり、コンサートでは必ず弾く曲ですと語られた。私はこれまで何度も聞きましたが、今回の演奏は後半の激しい旋律もホールの空間がやさしく吸収し、スクリャービンの、そして智内さんの音楽への強く激しい思いが昇華された様にも感じました。最後の「別れの曲」も良く知っている曲だけに、私にはなぜか片手で弾く智内さんの「別れの曲」に心引かれます。以前、片手の演奏について智内さんは“少ない言葉の方が心にしみるように、音が少ない分、メッセージを強く出せる”と話されていましたが、今回の演奏を聞き強くそれを感じました。それは彼が目指している「左手のみの演奏の素晴らしさをみなさんに届けたい」という願いが通じたのでは・・・。 アンコール最後の「エレジー」を聞きながら妖精たちがこのお庭に忍び込んで、いにしえ(はるか江戸の頃から・・・)のこのお屋敷に侘んでいた方々と交信しているのかしら・・・なんて楽しい空想をしてしまいました。 万緑に抱かれながらみな様と智内さんのコンサートを心ゆくまで楽しませていただきほんとうにありがとうございました。 |
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