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2008年4月26日(土)   Vol.45
「春の香をひと味そえてちりとてちん」(桂吉弥 落語会) 
「春の香をひと味そえてちりとてちん」(桂吉弥 落語会)
  ☆桂吉弥さんの桜の庄兵衛での初高座は、7年前。吉朝師匠とご一緒でした。
2度目は平成17年の師走。演し物は「住吉駕籠」「七段目」「かぜうどん」「狐芝居」でした。
今回は吉朝師匠最後の弟子、桂吉の丞さんが前座をつとめてくれます。
「青い山脈」の出囃子にのせて、なにがかかりますやら、底抜けにお楽しみに。
プロフィール
  桂吉弥

昭和46年、茨木市に生まれる。
神戸大学教育学部卒業。
平成5年  故・桂 吉朝に入門
平成6年  大阪・太融寺「吉朝学習塾」にて初舞台
平成9年  ABCお笑い新人グランプリ審査員特別賞 受賞
平成16年 NHK大河ドラマ「新選組!」に山崎烝役で出演
平成17年 なにわ芸術祭新人賞 受賞
      咲くやこの花賞 受賞
現在 NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」に徒然亭草原役で出演中

【レギュラー番組】
ABCラジオ 「とびだせ!夕刊探検隊」 
ABCラジオ 「征平・吉弥の土曜も全開!」 

【趣味】
料理、音楽鑑賞 、スポーツ観戦(阪神タイガース、サッカー全般)
プログラム
  ◆桂吉の丞
小ほめ

◆桂吉弥
ちりとてちん
愛宕山

「旦さん、ただいま」                               熊野 乃亜
 桂吉弥さんのファンには二通りある。「元祖」と「本家」だ。元祖は故・桂吉朝師匠の二番弟子として聴く者。本家は『新撰組!』や『ちりとてちん』の吉弥さんを一目みたいというヒトビトである。落語の様に元祖が本物で本家が偽物なんてことはもちろんない。どちらも本物のファンだが、聴き方には違いがあるかもしれない。

 元祖は故・吉朝師匠と比べて聴く。本家は吉弥さんの落語をこれが落語というものなのだというまっさらな状態で聴く。勢いに乗っている吉弥さんの『ちりとてちん』は、半端ない程高座にかけられたであろう練り上げられた味に満ちていた。『愛宕山』もしかり。「旦さん、ただいま」は分かっていても大爆笑。畳が抜けそうなほど会場がわいた。

 ドラマを観た人達は生で聴けてとても幸せそうだった。吉朝師匠の前座として桜の庄兵衛さんに出られた当時の吉弥さんは枕でJリーグのボランティアをしていると語り、小劇場の芝居に出演し、やがて大河に出演された。少しでも落語に縁のない層に落語を身近なものとしてもらおうと尽力しておられる姿が印象的だった。その努力が実って『ちりとてちん』。落語ってどうやって聞いたらいいの?という人達を熱狂させ、吉朝師匠亡きあと、ガラガラだった落語会が吉朝師匠をしのぐ活気を取り戻した。それはテレビの力も大きいけれど、吉弥さんに魅力があればこそのお話しだ。

 ちなみに徒然亭一門と吉朝一門にはお弟子さんが皆カッコイイという共通点がある。落語がどちらかというとかなり下火だった当時に吉朝師匠に弟子入りした吉弥さんの活躍を、ドラマと重ねて胸を熱くされた元祖の方も多いだろう。高座一本で会場を満杯にした吉朝さんの芸は端正できめ細やか。それでいてホロッと心地よい語り口に酔いしれていると、ポーンとトンデモナイ所へ連れて行かれる荒唐無稽さが共存するおそるべき芸だった。
 愛宕山でも、誤魔化そうと思えばいくらでも誤魔化せる、きょーびの人間には馴染みのない俗曲歌などをことさら丹念に演じておられた。一見どうでもいい様な細部が緻密に描かれることで生み出される爆発的な笑いに、一度聴いた者はやみつきになるのだ。

 吉朝師匠は桜の庄兵衛さんでの会に際して奥野さんに「おとし噺」として下さいと言われたそうだ。江戸の香り残る明治の文豪・夏目漱石が、幼い日の回想で近所の寄席にポイと出かけてゆくという一節がある。その時代の寄席といえば伝説の噺家・円朝。鏑木清方描く円朝の肖像や寄席の風景の空気を吉朝師匠は桜の庄兵衛さんにかぎとっていたのではないだろうか。繁昌亭もいいけれど、町衆文化の中で高座が味わえる贅沢。お茶子さんが湯飲みでお茶を配り、落語のタイトルをシールに添えたおかきを配る遊び心。ゆるゆるながれる障子ごしの陽光はホールでは味わえない。吉朝さんの前座だった吉弥さんの定席の一つはなんちゅーてもここ、桜の庄兵衛さん。そして吉弥さんの前座をつとめた吉の丞さんが大化けする日を私達は岡町から見届けたい。天国の元祖・吉朝師匠とともに。
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