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2007年7月21日(土)   Vol.41
「緑陰に風わたる日のコンサート」
吉田馨(ヴィオラ)・原田 美英子(クラリネット)都田悦子ピアノ)
「緑陰に風わたる日のコンサート」
  この夏、桜の庄兵衛では遙かドイツとウイーンから3人の楽士をお招きします
クラリネットの原田 美英子さん、ビオラの吉田馨さん、ピアノの都田悦子さんです。

高度な技術と長い海外での音楽活動に支えられた音楽家からのメッセージは「暑気払いになるような、背筋を伸ばして真夏に聴く(効く?)ほんもののクラシックを」(吉田馨さん)というもの。
息を潜めて聴くクラシックから生きてる今日を喜ぶクラシックへ。この人にはこの曲をどうしても弾いてもらいたいと、とっておきのプログラムが組まれました。
ソロやアンサンブルでお楽しみ下さい。
夏の土曜日の夕暮れ時をお友達やご家族と、あるいはお一人で桜の庄兵衛でゆっくりお過ごし下さい。
プロフィール
  吉田馨(よしだかおり)/ヴィオラ
ウィーン国立音楽大学にてS.フューリンガーのもとで研鑽を積む。同大学の学内コンクールヴィオラ部門で第一位を受賞。ウィーンムジークフェライン大ホールにてソリストとしてデビューする。同大学を審査員全員一致の最優等賞にて卒業。
オーストリアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパ各地の音楽祭にリサイタル、および室内楽のコンサートに招聘され、S,フューリンガー、B.ペルガメンシコフ、B.クシュニアー、N.シュナイダーほかと共演。
コンサートの模様はバイエルン国立放送局のほか各地のテレビ、ラジオにて放送された。

北九州国際音楽祭室内楽コンクールではヴィオラとピアノのデュオで特別賞を受け、フィンランド・クフモ音楽祭に招かれる。またその他各地のマスタークラスにて奨学金を受け、G.コセ、H.シャピロ、T.リーブル、S.コロー、I.ジンホッファーに師事する。

ウィーン室内管弦楽団、ドイツ・エッセンフィルハーモニーの第一首席奏者、また、ヨーロッパ室内管弦楽団のメンバーとして活躍後、2005年からはオスナブリュック交響楽団に首席奏者として就任。その他活動場所はオーケストラだけにとどまらず、ウィーン・クラング・フォーラム、ウィーンコンツェルトフェライン、アンサンブルコントラプンクテ、ウィーン20世紀アンサンブルなどにゲスト出演し、ルネッサンス、バロックから現代音楽に至るまで幅広いレパートリーでソリスト、室内楽奏者として活躍中。また、2006年からは名古屋にて、ドイツ人の音楽仲間とともに室内楽を中心とした演奏と講習活動「ドイツカンマームジーク」を主宰している。


原田 美英子(はらだ みえこ)/クラリネット
京都市立芸術大学卒業。卒業に際して音楽学部賞を受賞する。
卒業演奏会、第59回読売新人演奏会に出演。同大学院修了。
これまでに村瀬二郎、ライナー・ミュラー=ヴァン・レクム、西村一の各氏に師事。
第5回摂津音楽祭にて銀賞を受賞し神戸フィルハーモニックと共演。
2006年10月より2007年4月までマンハイムにて研鑽を積む。
1989年より大阪シンフォニカー交響楽団クラリネット奏者を務め、現在に至る。
神戸音楽家協会会員。

都田悦子(みやこだえつこ)/ピアノ
20年を超えるウィーン滞在歴を持ち、一児の母でもあるピアニスト都田悦子は、その堪能なドイツ語と、白魚のようにしなやかな10本の指から奏でられる音で、あるときはやさしく、またあるときは母の厳しさを持って、ウィーン国立音楽大学の後進たちを指導しています。ピアノから一歩離れた彼女は、華奢な外見からは思いもよらないパワーで車を操り、ウィーン郊外へのドライブへと繰り出します。そして、緑豊かなオーストリアの自然の中で深呼吸したエネルギーを音楽への糧として、またピアノに向かうのです。長きにわたってのウィーンでの音楽活動には、ウィーン国立音楽大学の教授たちからも大きな信頼を置かれ、様々な講習会、コンクールなどの公式伴奏者もつとめています。
プログラム
  *モーツァルト ケーゲルシュタットトリオ (クラリネット、ヴィオラとピアノ)
  第一楽章:アンダンテ 第二楽章:メヌエット 第三楽章:ロンド、アレグレット
*シューマン おとぎの絵本 ヴィオラとピアノのための4つの小品 作品113より1と2 
(ヴィオラとピアノ)
*エネスコ 演奏会用小品 (ヴィオラとピアノ)
*カイザック カンティレーヌ (クラリネットとピアノ)
*シューベルト 岩上の牧人(クラリネットとヴィオラとピアノ)
*ブラームス アルトとヴィオラとピアノのための二つの子守唄 op.91- 1&2
「夏座敷に聴くクラシックの調べ」                            張本 香代
 まもなくやってくる真夏の太陽を、待ちどおしく感じられるような、梅雨あけ間近の土用の夕べ。何日も前から伺うのを楽しみにしていた「桜の庄兵衛」屋敷の門をくぐりました。
お玄関で、竹雲斎の手付籠に盛られた、季節の花々に迎えられ、道中の蒸し暑さに、一息つくようなさわやかさを感じつつ、既に準備の整えられたお座敷に通されると床の間には、ご時候の、見事な大瀧のお掛け軸に、時代ガラス鉢 の取り合わせの涼やかさ。しっくいの白壁には、備前の掛け花入れに、ふうせん葛と蛍袋が。これも、何とも涼しげなこと。今宵、これからお茶会でもと、思えるようなしつらえの中に座して見れば、グランドピアノと譜面台が、やはりたしかに、クラッシックコンサートの始まりを告げておりました。
 やがて静かに、モーツアルトのケーゲルシュタットトリオの演奏が始まりました。軽快なピアノのメロディーと、声域でのアルトと同じヴィオラの音色のここち良さ、木管楽器クラリネットのソフトな響きの三重奏に、適度な緊張感をもって引き込まれてゆきました。
 演奏の進行と共に、少しずつ夕闇の迫るのが感じられると、お座敷のガラス越しに見える松のシルエットも少しずつ変化していきます。二曲目の、シューマン<おとぎの絵本>と続く頃には、まるで墨絵のようになり、やがて、夜空に一体となりました。  
 それにしても、長い年月を越え今に在る、日本建築のお座敷が、ウイーンやドイツで研鑽されヨーロッパ各地で演奏活動を続けてこられた音楽家の方々による、モーツアルトやシューマンなどのクラッシック音楽と、不思議な調和を見せることは驚きでした。演奏に心満たされる時が流れてゆきます。
楽都、ウイーンのコンサートでは、休憩時間といえばシャンパンやワイン片手に、客同士がお喋りに興じ身近な話題に盛り上がると聞いたことがあります。そのゆったりとした雰囲気も、演奏会の喜びを演出しているのだとか。方や、この夜の「庄兵衛」の休憩タイムは、また、和のしつらえに合わせたお心遣いでした。奥野様お手作りの夏らしいお菓子に日本茶が用意され、あちらこちらに談笑がこぼれます。和と洋の文化の出会いが、こんなに楽しめた夜はありませんでした。
 二部は、ヴィオラとピアノ、クラリネットとピアノの演奏から始まり、それぞれの楽器のもつ音色の美しさにうっとりしながら、オーストリアやドイツ、フランスの古都の風景まで彷彿とさせられる、穏やかに満たされた時間が過ぎます。そして、ブラームスの子守唄とアンコールの曲で、すべての演奏が終了となりました。
 古いお屋敷の風情の中で、クラッシック音楽のすばらしさを充分に楽しませて頂いた、夏の夜のひと時でした。

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