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2006年12月17日(日)   Vol.38
            
   「戌走り牡丹迎える桜の庄」 桂吉弥 落語ライブ 
「戌走り牡丹迎える桜の庄」
  過ぎた時間や守れなかった約束を思い出し、少し切なさを感じる年の瀬。
吉弥さんの噺に、笑いながら頷きながら、新しい年への心支度をととのえましょう。
なお、吉弥さんのご厚意により、昼の部・夕の部は各々違う演目が掛かります。
お好きな方は、ぜひ昼・夕通しでお楽しみ下さい。
プロフィール
  桂吉弥

昭和46年、茨木市に生まれる。
平成6年11月、桂吉朝に入門。
平成17年度、なにわ芸術祭新人賞・咲くやこの花賞受賞
趣味は音楽鑑賞、サッカー観戦、阪神タイガース応援
http://www.kichiya.net/
プログラム
  ☆桂まん我

☆桂吉弥
昼の部
 演目 七段目 住吉駕籠
夕の部
 演目 かぜうどん 狐芝居
十年後はこの人の時代が・・・                              山浦 純
 桂吉弥さんと言えば、何年か前、やはりこの岡町で開かれた 「九雀・吉弥二人会」以来。その時は、九雀さんの存在感の陰に隠れて、これからの人という印象だった。が、今回の落語ライブでは目を見張るほどの進歩の跡がうかがえた。噺に色気と艶がある。人物描写と間に妙がある。トントントーンと早口でたたみかける所は江戸前の気っぷの良さと粋がある。という具合なのだ。

 当日は、「奥野さんチで落語があるから、ちょっと散歩がてら行ってくるワ」といった調子でふらりと桜の庄兵衛へ。小春を思わせる陽気な落語日和で、「そのお天気の陽オ〜気なことォ〜」 …、♪チトン、シャン♪…と心中のお囃子に浮かれだしたくなる散歩道だった。

 『住吉駕籠』 『七段目』 『狐芝居』『かぜうどん』と昼夕通しで聴いた。『住吉駕籠』『七段目』が観客を爆笑に誘い、『狐芝居』『かぜうどん』が、じっくり噺を聴かせるといった塩梅であった。

 今は昔、桂枝雀さんの落語を聴いて、笑いが止まらないのにクシャクシャの泣き顔になるという「爆笑症候群」に襲われることがよくあった。今回の『住吉駕籠』も、一癖ありそうな駕籠かきが、茶店の亭主や酔っ払いや悪戯好きな堂島の相場師たちに散々からかわれる噺だが、これが大爆笑モノで、もう少しで「爆笑症候群」に襲われるところだった。イヤ笑った、笑った。

また、『かぜうどん』 では、噺の上手さもさることながら、うどんの熱い汁を飲んだり、うどんを畷ったりするズルッ、ズルズルズルッという描写音が、どうしてなかなか。聴く者をして、「寒い冬の晩に熱いうどんを畷る幸せ感と暖かさ」を実感させてくれた。これもまた落語を聴く醍醐味の一つでもあろう。

 『七段目』 『狐芝居』では、役者役の台詞回しや間が堂に入っていて独特の味があり、NHKの『新撰組』に出演されていたというのが頷ける出来ばえだった。

 さて、ジーパン姿の普段着に戻った素顔の吉弥さんは、ハンサムな好青年。まだ三十五歳だ。この世界は、五十代でも若手と言われるくらいで、三十五歳は出色の若さだろう。噺家の出雅子は皆決まっているそうだが、吉弥さんのそれは何と「青い山脈」で、ここにも現代青年の一端が伺える。

 昼の部の幕間に、後ろの席の人が、「もう十年たったら、この人(吉弥さん)の時代になるでェ」と隣の人と喋っていたが、今回の公演は、「もう大化けの衣を脱ぎつつある」「米朝落語の正統な後継者の一人」−そんな予感を抱かせる出色のライブだった。

 前座の桂まん我さん、三味線の石川裕美子さんもそれぞれ頑張っておられた。お疲れ様でした。
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