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2006年10月22日(日)   Vol.37
            
        「古の楽の音ひびくコンサート」 
「古の楽の音ひびくコンサート」
  どこまでも透き通バセットホルンという楽器をご存知ですか。 18世紀末に誕生し、モーツァルトがこよなく愛したクラリネットの仲間です 100年以上顧みられることなく忘れ去られていたこの楽器は、今も希少で 日本で演奏される機会も多くありません。

この度、桜の庄兵衛では「モーツァルトの時代と同じ音色でモーツァルトの曲 を」と3人の楽士をお迎えすることになりました。 バセットホルン独特の美しく澄んだ柔らかい音色をクラリネットと共に お楽しみ下さい。

親しみやすく聴き覚えのある曲も用意していただいています。
プロフィール<Emgo バセットホルン倶楽部>
  ★鈴木 豊人 (すずき とよひと)
桐朋学園大学卒業。ケルン音楽大学に留学。1976年より10年間、キール市立フィルハーモニー・オーケストラ首席奏者として活躍。
喜田 賦、(故)北爪利世、(故)F.クラインの各氏に師事。
サイトウキネン・オーケストラ、紀尾井シンフォニエッタ、アンサンブル・ベガのメンバー。   

★松原 央樹 (まつばら ひろき)
京都市立芸術大学卒業。在学中、同大学定期演奏会に協奏曲のソリストとして選ばれる。
卒業と同時に大阪市音楽団に入団。
92年、ザルツブルグ・モーツァルトテウムにて、A.ブラントホッファー氏に師事。
93年、NHK洋楽オーディションに合格、NHK・FM「土曜リサイタル」に出演。
94年、シュラットミンク・マスターコース修了。88年、92年、96年、02年にリサイタルを開催。
クラリネットを内海伸晃、朝比奈千足、鈴木豊人の各氏に師事。室内楽グループ 「アフター・アワーズ・セッション」のメンバー。   

★寺岡 陽子 (てらおか ようこ)
桐朋学園大学音楽学部演奏学科卒業。
ウィーン国立音楽大学に留学。
ヨーロッパ各地の国際音楽アカデミー・マスタークラスにてディプロム取得。
NPO若い芽のオーディション、ソロ部門にてNHK岡山局長賞、室内音楽部門にてロータリークラブ賞受賞。
ソロリサイタル、オーケストラとの協奏曲共演、室内楽など演奏活動を行う。
クラリネットを松原幸子、石橋耕三、(故)北瓜利世、A.プリンツの各氏に、クラリネットと室内楽を鈴木豊人氏に師事。

プログラム
  W.Aモーツァルト :  喜遊曲 Nr.1
W.Aモーツァルト :  ソナタ
W.Aモーツァルト :  「フィガロの結婚」より“恋とはどんなものかしら”  他
三人のバセット様(さま)へ                              たけうち みえ
 鉢に盛られたどんぐりの実、花生けのすすきやコスモスなどの草花、ひんやりとした風・・・深まりゆく秋を感じさせる夕べ、古民家でのバセットホルンのコンサートにめぐりあった。ホルンは知っているけど、バセットホルン?一体どんな楽器かしらと三人の奏者の登場を最前列に座って待つ。しばらくして、一人の女性をまじえたトリオが携えてきたそれは、クラリネットよりも丈長く、 ベルが上を向き、支えで床にすっくと立てられ、凛々しい姿である。

 ぴんとはりつめた空気の中、奏者の三人は互いに目配せで合図をすると、初めて聴く音色―温かく、深く柔らかな響きが太い梁と白壁の座敷いっぱいに広がっていく。演奏会でもめったにお目にかかれないというバセットホルンを奏者の息づかいまでも伝わってくるほど間近に聴けるのは幸運というほかはない。  バセットホルンをこよなく愛したモーツアルトが作曲した二十数曲の中のひとつである「喜遊曲第1番」では、一楽章が終わるたびに思わず拍手をしてしまうが、少しの間でも三人はリードを確かめたり体をふいたりと、バセット様に細かい気配りを欠かさない。

 オペラ「魔笛」の中で、夜の女王がコロラトゥーラソプラノで歌う聞き覚えのあるアリアのメロディーが軽快に気分を盛り上げていく。クラリネットとの二重奏では、バセットホルンの落ち着いた色調を縦糸に、明るく軽やかなクラリネットが横糸になって、まるで一枚の布が織り上げられていくようであった。

 最後の「喜遊曲第2番」は目を閉じて、音だけの世界に入ってみた。すると三つのバセットホルンの調べが互いに重なり合い、遠く近く寄り添いあい、モーツアルトが生きた時代の音と共に生命の喜びに満ちた世界が浮かび上がってきた。

 二百余年を超えて蘇った音色と二百年余を生きた日本の家屋が絶妙のハーモニーを生み出し、秋という季節の豊かな実りをこころにいっぱいいただいたようなそんな幸せな気持ちになったひとときだった。私の住んでいる岡町の地に こうした芸術と文化を愛し、発信する場があることをことのほかうれしく思う。三人のバセット様、これからも元気でご活躍くださいね。
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