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2005年9月4日(日)   Vol.32
                 
風の音かそけきコンサート 
風の音かそけきコンサート
  3年ぶりにジャズボーカルのキャンディー浅田さんをお迎えします。古き良き時代のアメリカ・スタンダードナンバーからスイングナンバー、ポップス・・客席からのリクエストもOKかも。
「神戸ジャズストリート」ではすっかりおなじみのキャンディーさんの清らかで透明感のある歌声を一足早く桜の庄兵衛でお楽しみ下さい。
プロフィール
  キャンディー浅田 (ボーカル)
 関西外語短期大学米語学科卒。NHK「ステージ101」にてデビュー。1982年松竹映画「真夜中の招待状」の主題歌をレコーディング。東京、大阪を中心に北村英治、大塚善章、世良譲、秋満義孝といったジャズ演奏家らとのライブセッションを繰り広げている。ラジオのディスクジョッキーパーソナリティーとしても活躍。「お元気ですか キャンディー浅田です」(朝日放送) 「日本列島ズバリリクエスト」(近畿放送) 「ギターは歌う」(エフエム大阪)など。04年9月初リードジャズアルバム「テネシーワルツを もう一度」をリリース。

今出 哲也 (ピアノ)
 6才よりクラシックピアノを始め、その後ジャズに転向。リッチー・バイラーのレッスンを受ける。
グローバー・ワシントンやスティーブ・グロスマン、ルイス・ジョンソンとの共演や、阿川泰子のコンサートツアー参加など盛んな活動を展開。
現在、大阪音楽大学のジャズピアノコース講師。編曲も多く手がけ、宝塚歌劇団での諸作品、紙ふうせんアルバム「青空と海」、NHKみんなの歌「ホーハイホー」など。
1998年リーダーアルバムCD「No Standard」発表
2003年NHK連続ドラマ「てるてる家族」出演
プログラム
  1 Fly me to the moon
2 Polca dots & moon beams
3 All of me
4 いそしぎ
5 ケ・セラ・セラ
6 先生のお気に入り
7 ナイチンゲール イン バークリースクエア
8 I got rhythm

   (休憩)

9 素敵な貴方
10 Love letters
11 as long as I love
12 Too young
13 Isn't it romntic ?
14 テネシーワルツ
15 貴方と夜と音楽と
16 more than you know
17 It's a pity to say good night
町屋と神様とキャンディさん                                難波永次
子供の頃、大きな家には主(ぬし)がいるとよく母親から聞いた覚えがある。普通は蛇だそうだが、我が家は少し違っていた。「古くて大きな家には神様が住んでいる、それも小柄で和服を着ている」のだそうだ。
母親の実家が大きな家なものだから、その言葉に真実味を感じていた。私はもちろん、その神様を見た事がなかったが、でもそこに住む親戚を見ていると大きな存在に守られていると感ぜずにはおれなかった。
 そんな日本の大きな家で、日頃から敬愛してやまない、キャンディ浅田さんがライブをすると聞きつけ、喜び勇んで出向いた。阪急岡町駅を降りた所からもう別世界、大きな木々に囲まれた町の音、心地よい風を受けながら自然に「桜の庄兵衛」に着いてしまった。門をくぐると受付のみなさんの優しい笑顔の向こうに大きな家屋があり、それは堂々としているものの決して厳しくなく、ここの神様が見えてくる様であった。広い土間を上がれば、三つの部屋をひとつにした和室が会場だ、天井を見ても、柱をみても木造の暖か味を感じ、そしてそこから外にはガラス戸越しにまさに日本の庭が広がって、演奏までの時間をなごませてくれた。ライブで使用されるのだろう、ここでは不似合いと思われるグランドピアノが部屋の一角に陣取っておるものの、調和してしまっている。しかし、これだけの「和」の中での、ジャズという音楽はどう受け入れられるのだろうか?

 ジャズピアノの今出哲也さんがストイックな表情で登場され、コンサートは開始された。
まずはソロで「September rain(九月の雨)」、実はこの時雨上がりで、願ってもないシチュエーション。自分の心は、繊細で想像力の豊かなこの演奏に、ここ「桜の庄兵衛」にいるという事も相まってか、体は自然に動き、あっという間にリズムに乗ってしまった。曲が終わるなり次の曲「Fly me to the moon」の前奏が始まり、そしてキャンディ浅田さんの登場。その場は一気に華やいだ。いつもの様に歌の持つ感情とかを、リズムでくるんで優しく伝えてくれるのだが、今回はいつもになく畳など「和」の生きた香りが歌をよりシットリさせている様に思われた。
「All of me」「いそしぎ」「ケセラセラ」「I got a rhythm」「Love Letter」「テネシーワルツ」私のお気に入りの“スタンダードナンバー”が目白押し。そして、いつもながら曲間の話も楽しく、友人曰く「キャディは二度美味しい」という言葉を思い出し相槌打った。
1部の最後の曲がまた嬉しかった。「蘇州夜曲」李香蘭で有名な曲。キャンディさんから日本語の歌を聞いたのは始めてであり、何か歌に込める思いの様なものを感じさせる。「君がみ胸に 抱かれてきくは夢の船唄 鳥の唄‥」素敵な歌詞だ、もう60年以上前に出来た曲なのに古さを感じさせない、そこにジャズのエッセンスが絡み今日のライブのテーマがあると思えた。

今回はいろんな意味で新たなる出会いに立ち会えた思いであり、実にお洒落なコンサートであった。

アンコール曲が終わった後の観客の笑顔や口々に出る感想がライブの出来を充分物語っている。和の空間の中に洋が入り込み違和感どころか、より感動をもたらしている、自分の持っているセンスの小ささを感じると共に、イイものは イイものと会えば、よりイイものに仕上がるという事を実感した。

それから一番最後まで拍手を終わらなかったのは、片隅であぐらを組んでいる小柄で和服を着ている神様だった事をここで報告しておかなくてはいけない。
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