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2005年3月6日   Vol.29
                 
桃花ほほえむコンサート 

桃花ほほえむコンサート
  大阪が生んだチェロの名手・近藤浩志さんの待望の再登場が決定しました。

昨春の初公演は満席御礼。 日本家屋に響きわたるチェロの音色は、
コンサートホールでは体験できない独特の温かみに包まれ、
近藤さんの熱いメッセージも織り込まれたお話と演奏に感動しきり...。

演奏会に日本各地を飛び回る近藤さん。第2弾となる今回は、
どんなお話と音楽が飛 び出すのか、今からワクワク、楽しみです。
桃が色づき始め、春の訪れを感じ始めるこの季節、
近藤さんの織り成す音世界で心に 春を迎えてみませんか?
プロフィール
  近藤 浩志
大阪府枚方市生まれ。
東京芸術大学、仏エコール・ノルマル、ブローニュ音楽院両校首席卒業。第二回、第三回大阪国際室内楽コンクール特別賞受賞。カーネギーホールでのニューヨークポップスオーケストラとソロ共演を始め、国内外のオーケストラと数多く共演。

久石譲氏をプロデューサーに迎えた初のソロアルバム「arcanto アルカント」はクラシックの名曲からナウシカまで、近藤さんの魅力を網羅した意欲作。

最近は、NHK教育テレビで放映中の『夕方クインテット』の演奏メンバーとしても活躍中。

鷲尾 惟子(わしお ゆいこ)
奈良市在住。 3歳からピアノを習う。京都市立堀川高校音楽科を経て、 桐朋学園演奏学科卒業。関西を中心に大阪フィルとの 共演やソロ・室内楽、リサイタルなどを行う。
クラシックの演奏をする傍ら、シルクロード・ウイグルの 音楽を日本で紹介、研究・プロデュース・アレンジ・演奏を 自らで行う。NHK−FM・J-WEBなどでゲスト出演。
プログラム
 
1 エレジー フォーレ作曲
2 白鳥 サン・サーンス作曲
3 夢のあとに フォーレ作曲
4 グラン・タンゴ ピアソラ作曲
5 マイ ファニー バレンタイン リチャード・ロジャース作曲・近藤浩志編曲
6 おじいさんの古時計 H.C.ワーク作曲・近藤浩志編曲
7 荒城の月 滝廉太郎作曲
8 故郷  岡野貞一作曲
9 ダニーボーイ アイルランド民謡・近藤浩志編曲
“木のぬくもりに包まれた時間”によせて                        坂井麻子
New  昨春好評だったチェリスト・近藤浩志氏、待望の再来は高校の同級生というピアニスト・鷲尾惟子さんを迎えての『大人の時間』。5年ぶりの共演だと話されたけれど、やはりお互いへの安心感からか、演奏にゆとりが感じられた。

 「1曲目にすることはめったにない」というフォーレ作曲の【エレジー】から、ゆっくりと始まる。スマトラ沖地震など最近続いている悲しいニュースに、追悼の気持ちを込めて。続いて、サン=サーンスの『動物の謝肉祭』から、チェロの名曲【白 鳥】。優しさあふれるピアノの音色に包まれて、たおやかに湖を行き来するスワンが目に浮かぶ。優雅な白鳥に心が洗われたあとは、フォーレに帰って【夢のあとに】。どこか旅情的な哀愁が漂う世界観に身をゆだねていた。
  そしてメインディッシュの【ル・グラン・タンゴ】へ。ピアソラがロシアのチェリスト・ロストロヴォービッチの為に書いた超技巧的な曲で、許されない恋にはまってゆくかのような情熱的なメロディから、時折弦をたゆませる音色が悩ましく、色っぽい。

 休憩が明けて再び演奏者入場で、ピアニスト・鷲尾さんの鮮やかなお姿に「わぁ〜」と声が上がる。絣の和服をオレンジの生地と合わせてドレス調に仕立てた衣装で、「日本家屋のこの雰囲気に合わせてみました」とご本人。

 「その顔には笑っちゃうし、写真写りもよくない、気の利いたことも言わない。でもそのままでいい。僕のことを好きだという気持ちだけでいい・・・」。こんな愛らしい歌詞の紹介に続く【マイ・ファニー・バレンタイン】は、メロディカのカジュアルな音色が、ココロに温かく、とろけるように癒されていく。続く【おじいさんの古時計】では、ヘンリー・クレイ・ワークの作曲エピソードが紹介され、耳慣れた曲が新鮮に聞こえてくる。作曲当時売れなかった【続おじいさんの古時計】は、近藤氏のアレンジで息を吹き返し、古時計の時を告げる箇所がピアノでアクセント的に入るなど、軽やかで懐かしさが印象的。日本家屋・客間にふさわしい曲を・・・と演奏された【荒城の月】では、西洋の楽器チェロが文化の垣根を超越して、忘れかけていた“日本”を思い出すひとときを創り出す。続く【故 郷】は、会場が一つとなって歌い上げていた。

  プログラムを締めくくるのは、【ダニーボーイ】。単音のピアノ伴奏に乗せた詩の朗読は、何度聞いても目頭が熱くなる。戦地に向かう息子へ・・・「戦争で手柄なんか立てなくていい、必ず帰っておいで・・・」。朗読を終えて、ゆっくりチェロ演奏が始まる。詩を優しく包み込むような、やわらかな音色が心に染み渡る。

 大拍手に迎えられたアンコールは、【アメージング・グレイス〜宵待草2005】。 牧師さんが作曲したという『アメージング…』のチェロのソロ演奏は、牧歌的で心にやさしい。ピアノが加わって続く『宵待草』では、メロディカも挟んで春の夕暮れのような哀愁が漂う。ラストを飾るのは、昨年12月3年のガン闘病生活を終えて天国へ召された歌手・KOUTAROさんの【SAZANAMI】。「何度も勇気付けてくれた彼の曲を引き継いでいきたい」との思いを語る。原曲をご存知ない方も、KOUTAROさんのエピソードと悲歌的メロディで目を潤ませていた。

 木の楽器を木の空間で聴く贅沢。その深みある空気感は、築300年の日本家屋客間に自然と溶け込んでいた。
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