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2005年1月10日   Vol.28
                 
唐梅のかほりただよふコンサート 

唐梅のかほりただよふコンサート
  長細く切った木に張られた十三本の絃とそれを支える同じ数の柱(じ)。
それが箏−はるか昔に大陸から伝えられ、いつの間にか日本独自の今の姿になり、長く私たちの歴史と共に奏でられてきた楽器です。
初春の桜の庄兵衛に、大阪が生んだ新進気鋭の箏奏者 片岡リサさんをお迎えいたします。
大阪からお箏の魅力を発信し続ける片岡リサさんが奏でるお箏の「古典から現代まで」。
「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」とばかりに心ゆくまでお楽しみくださいませ。
プロフィール
  ■片岡 リサ(箏)
1978年生まれ。大阪音楽大学卒業、同大学専攻科修了。幼少より箏・三絃を始め、数々のコンクールの児童の部・一般の部において第1位を受賞。
平成11年度 大阪文化祭奨励賞、平成13年度 文化庁芸術祭 新人賞を史上最年少で受賞、平成14年度 大阪舞台芸術奨励賞など様々な賞を受賞。
「京都・国際音楽学生フェスティバル2000」に日本代表として選抜出演、また、平成13年度 文化庁芸術インターンシップ研修員として研鑚を積む。
東京フィル・大阪フィルをはじめ、多くのオーケストラとの共演やオペラ出演、NHKテレビ・民放・ラジオに出演するなど精力的な活動を行い、邦楽を担う新しいタイプの演奏家として評価されている。
現在、大阪音楽大学・同志社女子大学講師。宮城社師範。

片岡 リサさんのホームページ
日本経済新聞 2004/7/17夕刊の記事より

■川上 佐和子(オーボエ)

2000年 大阪音楽大学器楽学科(オーボエ)卒業
第5回 高槻音楽コンクール入賞
2000年4月から2003年3月迄、大阪音楽大学教員助手と務める。
現在、大阪音楽大学演奏員を務めるほか、関西を中心にオーケストラや室内楽の分野で活動中。
呉山平煥、林哲也、古部賢一の各氏に師事。
プログラム
  六段の調 (箏独奏)
春の曲(箏・地歌)
初便り(箏・ソプラノ)
荒城の月 (胡弓、オーボエ)
春の海 (箏、オーボエ)
アメージング グレイス (箏・歌)
「唐梅のかほりに誘われて」                          北村里恵
 からりと晴れた冬の日、片岡リサさんのお箏を聴きに桜の庄兵衛さんを訪ねました。通り抜けた岡町の商店街にお正月の名残りで「春の海」がかかっていたように、お箏にはお正月のイメージがありますが、「唐梅のかほりただよふコンサート」と銘打たれたこの演奏会はひと味違ったものでした。

 登場したリサさんは、あでやかな振り袖姿。後ろの白い壁によく映えます。演奏会はリサさんの軽妙なトークを交えながら進んでいきました。リサさんの弾かれるお箏はとにかく華麗でダイナミック。緩急自在で色彩豊かなイメージなのです。まず、お箏の世界では一番重要な曲だという「六段の調」からスタート。初心者からプロまで、この曲にはそれぞれのレベルで課題があるなどというお話を聞くと、この曲から演奏会を始めるリサさんの心意気に触れる思いがします。古典の曲、宮城道雄さんの曲、地唄の弾き語り(「春の曲」)、オペラ歌手と同じベルカント唱法によるソプラノの弾き語り(「初便り」)と、バラエティーに富んでいて、引き込まれます。私はリサさんのソプラノの声が好きです。澄んだ声と、からりとしたお箏の響きが、和の空間に消えていく様が心地良かったです。それぞれの曲の聴きどころ、いろいろな奏法などのお話を聞きながら曲を聴いておりますと、普段「お箏」ということで漠然とくくってしまいがちなこのジャンルの音楽にも、古典から現代への縦の流れがあり、また、様々な奏法や作曲法による横の広がりがあるということに気付かされます。リサさんのユニークなお喋りにはお客さんからクスクス笑いが漏れ、楽しい雰囲気で演奏会は進んでいきました。

 休憩にお庭の蒸籠でふかした熱々の酒饅頭をいただいた後には、リサさんはがらりと雰囲気を変えて、エレガントな黒のパンツスーツで登場です。お昼の部では振り袖のままだったそうなのですが、洋装で邦楽というのもおしゃれです。今度は胡弓という楽器が出てきました。胡弓というと、中国の楽器のイメージがありますが、それは二胡というもので、リサさんが弾かれたのは日本の胡弓なのだそうです。弦を弓でこするので、バイオリンに少し似ていますが、それで奏でた「荒城の月」は、やはりどことなく和の侘びを感じる音色なのでした。その後、リサさんのご友人のオーボエ奏者、川上佐和子さんが登場。尺八と合わせていたようなお箏の曲をフルートで合わせるようなことがあるようですが、オーボエもなかなかよく合います。この日はあの宮城道雄さんの「春の海」をオーボエとの競演で聴きました最後の曲はリサさん編曲による「アメージンググレイス」でした。この曲でも様々な奏法が取り入れられ、時にハープのようであったり、マンドリンのようであったり、お箏という楽器がいろいろな顔を持っていることがわかります。遠い昔、シルクロードを通って日本にやってきたというこの楽器は、時代とともに新しい魅力をどんどん発見されたからこそ、今日まで現役でありつづけたのかもしれません。演奏を聴きながら、そんなことをしみじみと考えておりました。

 最近は邦楽の演奏会もコンサートホールで行われますが、やはり和室の木や畳、障子の柔らかさはお箏にとても合いますし、奏者との距離感がしっくりするものです。また是非、桜の庄兵衛さんでリサさんの演奏を聴きたいと思いました。みなさんもお茶目でチャーミングなリサさんの演奏を聴いてみて下さい。

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