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2004年11月7日   Vol.27
                 
天竺の風に吹かれてコンサート 
天竺の風に吹かれてコンサート
  月を読み、風とともに季節を巡る私たち。
じつはインドの古典音楽も、季節や一日の時間など自然の流れと深いかかわりをもち、
「ラーガ」と呼ばれる旋律を表わす言葉は
「心を彩る」というサンスクリット語に由来しているそうです。

優雅な舞とともに立ちのぼるシタールの音色は、まさに時空を超え、
私たちの心をロマンチックに、スリリングに彩ってくれることでしょう。
秋の庄兵衛で、そんな美しいひとときをお過ごしください。
プロフィール
  ■田中 峰彦 Tanaka Minehjiko ■ シタール Sitar
1983 年民族音楽とりわけ北インド古典音楽の豊かな音楽性・即興性に魅せられシタールをはじめる。
1988 年渡印、カルカッタにてシタールの巨匠ニキル・べナルジーの直弟子で演奏家のアミット・ロイ氏に師事。
各地で演奏活動を行い、豊かな詩情とワイルドさをあわせもった演奏には定評がある。
また古典の一方では、作曲家としての評価も高く、民族音楽の旋法や歌いまわしを駆使したオリジナル曲を、独自の奏法によって作曲・発表している。

そのほか、様々な演奏家や舞踊家と共演、テレビ・ラジオ出演、海外での公演など、精力的な活動を行っている。
CD 作品は、自作曲による「ミネラル・ファンタジー」など。その他参加多数。

■田中 りこ Tanaka Riko ■ タブラ Tabla
1989 年インド各地を旅行中にインド古典音楽の演奏を聴き、そのなかでも打楽器タブラの豊かな音色と表現力に魅せられ、タブラを学び始める。
1995 年カルカッタにて、タブラ演奏家オビジット・ベナルジー氏に師事。
現在は関西を拠点に、インド音楽を中心とした演奏活動を全国各地にて行なっている。
そのほか様々なジャンルのCD作品に参加。

■柳田紀美子 Yanagida Kimiko ■ オリッシィ Orissi
1987 年奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。
88年〜インド、デリーのH.K.Behera師よりオリッシィダンスの基礎を学ぶ。
93〜95 年、オリッサに滞在、S.C.Swain 師の指導を受け、その後毎年渡印、
インド芸術大学よりオリッシィ課程修了証(Diploma)取得、インド国営放送
テレビに出演、他インド各地で公演。
日本では唐招提寺の文化講座、築地本願寺などで演舞。東京・大阪・神戸にて舞踊クラス主宰。
2003年ベルリン国立民族博物館、奈良国立博物館「インド彫刻展」にて演舞。

シタール奏者・田中峰彦さんのホームページ

柳田紀美子さんのホームページ 

プログラム
  舞   「マンガラ・チャラン」
奏   「ドゥーン」(ベンガル地方の民謡)
奏   「月夜のラーガ」(インド古典音楽)
    「チャンドラ・コーシキ」
奏&舞「パラピ」
奏&舞「モークシャ〜祈り」
インドの音楽と舞踊
  北インド古典音楽

インド・ムガール朝の宮廷音楽として発展した音楽ですが、現在ではインドのみならず世界中で多く
の人に親しまれています。
季節や一日の時間帯など自然の流れとかかわりの深い音楽で、「春」「雨」「夜明け」「月光」などの数々
のロマンティックなメロディがあり、演奏者は伝統的な音楽のルールをもとに、即興的に演奏を展開
していきます。ゆったりとした甘美さと、手に汗握るスリリングさ、芸術性とゲーム性の両極をあわ
せもった音楽です。日本のこぶし・人の声のように曲線的な歌いまわしも大きな特徴のひとつです。

オリッシィー 東インド古典舞踊

東インドのオリッサ州に伝わる古典舞踊で、奉納舞踊として千年前から伝えられてきました。
腰を深く構えた安定感のある姿勢、曲線美を強調した柔らかい動きと所作が魅力です。
所作の一つ一つに深い意味がこめられており、彫刻を思わせるポーズが多く織り込まれていることか
ら、別名『生きた彫刻』とも呼ばれています。現在では芸術舞踊としての価値が認められ、インド国
内だけでなくヨーロッパ・アメリカでも広く紹介されています。

演奏のしおり(PDF)

「天竺の風に吹かれてコンサート」を聴いて                      田中 芳雄
New  11月7日、それは私の音楽観が変わった日です。「天竺の風に吹かれてコンサート」、シタールを聴かせて頂いたときから変わりました。今から思えば、これまで私の音楽観といえば、西洋音楽一辺倒で、西洋音楽がなんでも一番であろうと思い込んでおりました。しかし、このコンサートを聞いて私の考えが根底からひっくり返りました。こんなに音楽性豊かで、完成された音楽が、同じ東洋にそれも数百年程前から存在していたのだと、自分の無知さに唖然としました。

 シタールは主に旋律は4本の弦で、伴奏は3本、計7本で演奏され、ただ単にフレットを押さえるだけでなく、激しくチョーキング(こんな表現を使っていいのか疑問ですが、フレット上で弦を下に引く度合いにより音程を細かく変える奏法。5度の音程が変化できるそうです。)され、日本民謡でいう「こぶし」様の複雑で少し曖昧な装飾音を散りばめられ、単純な旋律ではなく、とても五線譜に起こせない複雑な曲奏であると感じました。

 その上に(本当は旋律弦の下にあるのですが)13本の共鳴弦があり、弦を鳴らすたびに文字通り共鳴することにより、常時うなりのような音が発せられ、摩訶不思議な世界が生まれています。

 曲の構成は2つの部に分かれているようです。第1部は序奏部。西洋音楽でいう主題の提示部であろうと想像します。シタールの独奏でテーマが静かに始まり、次第に高揚してくると打楽器であるタブラが入り、そこからが第2部の展開部(変奏部)となるようです。展開部はタブラとの掛け合いで、テーマを即興的に変奏され、それを何度も何度も繰り返し、次の変奏、次の変奏とどんどん変化しながら、気分を高めていきます。
 
 この繰り返しは津軽三味線の奏法にも採り入れられているような気がします。繰り返しは気持ちが高揚し、その世界に引き込まれる強力なインパクトのある奏法と感じました。
ますますテンポが速くなり最高潮に達して突然の静寂で終止します。この静寂は、後に強い余韻を残し、ついため息をついてしまうのは私だけではなかったと思います。
演奏の形式は西洋音楽のソナタ形式やモダンジャズとほぼ同一のように思えました。
音楽や形式の完成度も素晴らしいものでありましたが、演奏技術もそれ以上にすばらしいものだと感じました。

 今回、インド舞踊のオリッシイも同時公演されました。オリッシイも私のとって初めての経験でありまして、9つの表情を指先で表現されているとのお話で、力強い足踏みと指先にまで神経を注いだ繊細な演技で、インド文化の伝統と懐の深さを感じました。

 今では仕事場でも、車の中でもシタールの音が途切れることがありません。
周りのものから「はまってしまった」と異口同音に言われております。
たった2人でオーケストラにも匹敵するような豊かな音色、不思議なリズム、そして演奏技術に感動いたしました。あのビートルズのジョージ・ハリソンもインド音楽に魅了されたことも頷けます。

 インド文化は「0の発見」を含め西洋の文化に多大な影響を与えてきたと聞いております。音楽の世界においても西洋音楽、モダンジャズの源流を垣間見た気がします。
近い将来、改めてシタールのコンサートを開催していただきたいと思います。今回の演奏では、古典と新作オリジナルを併せて数曲演奏していただきましたが、次回はインド音楽の歴史を知る上で是非古典をじっくりと聞かせていただければ幸いです。