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2004年9月5日   Vol.26
                 
すずかぜ吹け吹けコンサート 
あじさいコンサート
  「音楽的に最も整った弦楽四重奏。そこからチェロを抜いてみたらどうなる?」
こんな無理難題に挑戦して、見事に名曲を作ってしまった作曲家が二人。
ひとりは、ハンガリーの燃えたぎるような激しさに彩られたセレナーデを。
もうひとりは、スラヴの風吹くすずしげなテルツェットを。
そしてこのふたつの名曲に果敢に挑む、若き弦楽器奏者が三人。
まだ夏の色が残る九月の初め、熱い男たち三人の清々しくも情熱的な演奏を
桜の庄兵衛で心ゆくまでお楽しみください。
プロフィール
  ★1st.Violin 高木和弘
1972年、大阪生まれ。6歳よりヴァイオリンを始める。 大阪府立北野高等学校を卒業後、渡仏。フランス国立リヨン高等 音楽院ヴァイオリン部門を首席卒業。'00年9月文化庁派遣芸術家 在外研修員。 '02年11月よりヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の 首席コンサートマスターに就任。国内では長岡京室内アンサンブ ル並びにいずみシンフォニエッタ大阪のメンバーとして活躍中。 '97年エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。 '98年第54回ジュネーブ国際音楽コンクール ヴァイオリン部門 第三位入賞(一位なし)。'01年Eusia弦楽四重奏団第1ヴァイ オリン奏者としてフィショップ室内楽コンクール第1位を受賞。 豊かな知性と音楽性を兼ね備え、洗練されたしなやかな弓の運び で、あたたかくも光り輝くような音色とコントロールされたヴィ ヴラートを併せ持つ類稀なヴァイオリニスト。
高木和弘さんのホームページ

★Viola 増永 雄記
5歳よりヴァイオリンを始める。 京都市立芸術大学音楽学部弦楽専攻卒業。 '97年、第五十一回全日本学生音楽コンクール大阪大会高校の部入選。 '03年フランス、クールシュベールの講習会に参加、森悠子氏に指導 を受ける。 ヴァイオリンを森田玲子、久合田緑、ヴィオラを永藤照夫、山本由実 子の各氏に師事。 現在フリー奏者として、関西を中心に室内楽やオーケストラで活動し ている。

★2nd.Violin 佐藤一紀

立花和夫氏のもとでヴァイオリンを始める。 '97年京都市立芸術大学大学院音楽研究科修了。'95年渡仏、現代音楽 を中心に研鑽を積む。'96年京都フランス音楽アカデミーに参加。'97 年シャン城インターナショナル弦楽マスタークラス参加。'99年より 古楽器の演奏も始める。 景山誠治、辻井淳、岸辺百百雄、M-le-デイゼス、ミシェル・オーク レール、E・ウルフソン、レジス・パスキエ、A.モッチャ、森悠子の 各氏に師事。 現在は長岡京室内アンサンブルのメンバーとして活躍するほか、関西 を中心にソロ、室内楽、オーケストラなど意欲的な演奏活動を展開し ている。 バロックから現在書かれている音楽まで、各時代の様式感を追求 独自のスタイルの中に取り入れる演奏法を持つヴァイオリニスト。

プログラム
 
  • 2つのヴァイオリンのためのソナタ3番(J.M.ルクレール)
  • Z.コダーイ/セレナーデ Op.12
  • A.ドヴォルザーク/テルツェット Op.72
高木和弘氏のコメント
  色々と案を練って、メンバーも承諾を得た結果、今回、バイオリン2台とビオラが1台という大変珍しく、コンパクトでしかも大変高い緊張感をもたらす事の出来る編成を組む事に成功いたしました。曲もあまり無いがあることはあり、しかもそれらが大変な名曲である事は筆舌に尽くし難い感がございます。

そういった条件の中では共演者がこれまた大変にレベルの高いことが要求され困難を得たのですがようやく適任の方を見つけました。僕の親友であり、長岡京でもずっとご一緒させていただいている佐藤一紀さんとその後輩の増永という男です。

3人とも男という事で残暑厳しい中、非常にむさくるしい感じの舞台にもなることでしょうが、ここはスポーツで思いっきり汗をかいた直後に激辛の熱いラーメンをかっ食らうような気持ちでこの演奏会に望んでいただけたらこれ幸いです。 
感想文                                  奈良県斑鳩町  田 中 照 祐
New   私はこの公演プログラムを知ったとき、驚かされました。というのは、少ない選曲にもかかわらず、ほとんど馴染みのない楽曲ばかりだったからであります。当会場へご参集の皆様方の大部分が聴いたことのない曲目だったに違いない。楽器編成が弦楽四重奏曲のチェロ抜きの作曲者がいたのか、と多分テルツェット(一般的に声楽三重唱)と指定して今回限りの編成かとも思われましたが、やはりオリジナル曲だったようです。楽曲編成と曲目、それに演奏者の顔ぶれ、果たしてどんな音楽を聴かせてくれるのか興味が湧いて参りました。

 和風のホールにぎっしり敷かれた座布団に座った百人ほどの聴衆は、今やおそしと待っていました。外は曇天、今にも雨が降りそうで蒸し暑い条件でありました。果たして弦は鳴り響くのか、室内のコンディションも気にかかりました。  ホールについては日本古来の壁と、太い柱と床、大きく横たわっている梁は典型的な日本間、過去に聴いたときより音響はむしろ良かった。座席の位置は後ろから3番目。ホールの残響はライブというより少しデッド気味で、演奏者も戸壁を背にしてステージの真上が2階吹き抜けに繋がっているので、理想的な音響空間をつくり、申し分ない位置で聴くことができました。

 最初の曲目、ルクレールのソナタ3番(数年前レコードでボベスコ(去年9月死去)の演奏で聴いた記憶があります)は、バッハ時代の曲で、軽快なメロディーをバロック奏法で掛け合う古典音楽ですが、むしろ現代風の若さに満ちあふれた演奏に驚かされました。
 コダーイのセレナーデは、ルクレールの約200年後の曲で、今回初めて生演奏で知ることができました。この曲はハンガリー民族色の濃いリズムとメロディックな部分もあり、もう一度聞きたい曲になりました。
 最後のドヴォルザークのテルツェット、この曲もさすがドヴォルザークならではの郷愁を偲ぶ隠れた名曲として私の脳裏に深く刻み込まれました。
3人の若い演奏者のアンサンブルは、後になるほど息が合い、見事なクライマックスで終了しました。アンコールを含め、計4曲、約60分の時間は、あっという間に過ぎ去りました。期待どおりの演奏を聴かせていただき、大変良かったと思っています。できれば、3人にチェロを加えたカルテットを近い将来是非 拝聴したいものです。

 世界に誇れる弦の王国、それは日本であります。特にヴァイオリンは技術もさることながら、楽器の所有そのものも他国を凌駕しています。国際音楽コンクールにいたっては、昔は考えられなかったことが、今では当たり前のごとく世界の覇者になり、また入賞者も多く、若い才能を世に送り出しています。それは研鑽と努力の結果で、私どもクラッシクファンにとっても大変喜ばしいことであります。しかし、往年の名ヴァイオリニスト、例えば、エルマン、ハイフェッツ、シゲティ、…(アウアーの門下)は、それぞれデビュー当時から、テクニックに加え、強烈な個性の持ち主で、一小節を奏でるだけで、誰の演奏かが分かるほど、それぞれ個々に豊かな音色で、自分の解釈を表現し、聴衆を魅了してきました。それはその人なりの音楽像が見えるスゴイ芸術家に他ならないと思います。ヴァイオリンに限らず、全世界のアーチストたちが、個性尊重せずに、テクニックを最優先している様に思えてならない。昔と比較すれば今の技術は相当なもので、美しく立派に弾きこなし、申し分なさそうですが、後から余韻として心に伝わってこないのは、私だけではなさそうです。

第一ヴァイオリンの高木和弘さん、何でも一通り弾けるヴァイオリニストよりも、自分の持ち味を活かした奏法を開拓し、インパクトのある音でアピールしてください。
11月のリサイタルでは、よりオリジナルでユニークな曲を披露し、挑戦する意気込み、その勇気は賞賛に値すると思います。あなたはプロの道にあって信念を曲げず、更に研鑽を積んで、世界に誇れるヴァイオリニストを目指して、邁進してください。今後の活躍に注目し、期待します。