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2003年9月15日   Vol.21            .
                     「あきかぜすず吹くコンサート」

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「あきかぜすず吹くコンサート」
        

プロの中では数少ない、生粋のモダン・クラリネット奏者を
ついに桜の庄兵衛にお招きします。
ジャズ通の方には「あのデフランコ系の凄腕」とお伝えするだけで、
スリリングな美しさを心待ちにしていただけることでしょう。
ジャズが初めてという方にも、名曲「枯葉」や
「テネシーワルツ」などをたっぷりお愉しみいただけます。
今年の秋は、モダンジャズでスイング。
いつもとちょっと違う物語が始まります。

 プロフィール
          ◆ジャズ・クラリネット:滝川雅弘
1960年大阪生まれ。大阪教育大学特設音楽科卒。
クラリネットを喜田賦氏と岩井秀昭氏に師事。
並行して国際楽器のクラリネット教室で浜中浩一氏の指導も受ける。
一時は教職に就くものの、ジャズへの情熱捨てがたく、ジャズクラリネット奏者の道を歩む。
バディ・デフランコに傾倒、デキシー、ニューオリンズ・ジャズの盛んな大阪にあって、モダン・クラリネットを徹底して追求。
1995年、中山正治ジャズ大賞受賞。
1995年5月、新宿のライブスポット「J」で谷口英治との2クラ・セッション、
1995年11月、NHK−FM「セッション95」に出演、北村英治、谷口英治との3クラ・セッションを行う。
2000年9月、最初のリーダーアルバム『Masahiro Takigawa』をリリース。
2001年8月、東京のライブハウス「Tokyo TUC」で谷口英治、右近茂とのセッションに出演、在京ファンの圧倒的支持を集めた。
2002年11月、2枚目のアルバム『AUTUMN LEAVES』をリリース。

<滝川雅弘応援ページ

◆ピアノ:八木 隆幸

ジミー・スミスのオルガンを聴きジャズに興味を持ち、18歳の時ジャズオルガニストの酒井潮氏に師事し、正式にジャズを始める。 同志社大学に入学。軽音楽部に入部、ピアノに転向。 トリオ等を組み、地元のジャズクラブ等に出演し、演奏活動を始める。
大学卒業後、プロミュージシャンとして活動を始める。 その後ニューヨークに渡り、ピアニストのロニー・マシューズ、ウォルター・ビショップ,jr.バリー・ハリス、ノーマン・シモンズ、等に師事。
又、様々なミュージシャンと多くのセッションを経験し、自身の音楽を深める。
また、山口県国際芸術村で行われた日米交換プログラム、アーティスト・イン・レジデンスに、アソシエイト・アーティストとして参加。 作曲家、サックス奏者のフレデリック・ティリスに師事、作品を残す。 現在は大阪に在住。ソロ、デュオ、自己のトリオ、又 クラリネット奏者の滝川雅弘のグループ等で関西を中心に活躍中。


◆ウッドベース:中村尚美
岡山県出身。中学生の頃から吹奏楽部でコントラバスを担当し、大学時代にジャズベースを学ぶ。1998年には阪神大震災復興を願ってジャンルを超えたミュージシャンによって作られたCD『Dusk&Dawn』に参加。
最近ではピッコロベースの演奏も手がける。女性ならではのエレガントな演奏方法は、ジャズベーシストの中では異色である。
プログラム
『Memories Of You』
『鈴懸けのみち』
『小さ花』
『スターダスト』

スタンダード・ナンバー
『Take the "A" Train』
『テネシーワルツ』
『枯葉』
『Summertime』

古いお屋敷に吹く新しい季節の風    堀 晃                          
 

 ジャズ・クラリネットは秋に似合う。

 真夏の炎天下で開催されるジャズ・フェスティバルの華が電気楽器や金管楽器なら、秋口には木管楽器の柔らかい音が聴きたくなる。
 「あきかぜすず吹くコンサート」に滝川雅弘さんが出演すると聞いて、はじめて「桜の庄兵衛ギャラリー」を訪ねた。

 まず会場の雰囲気に驚いた。古い庄屋さんの屋敷らしく、落ち着いた町並みの中に、広い座敷や緑の多い庭園が残されている。まだこんな場所にこんな立派なお屋敷が残っていたのかというのが正直な第一印象だ。ぼくはこうした古い屋敷の維持に苦労が多いことを、地方都市の色々な事例から知っている。わが故郷の龍野市では、本家筋の屋敷が崩壊の危機にある。ここでは地域の方々が協力してコンサートを運営されているらしく、由緒ある屋敷と景観保護のひとつのあり方だと感銘を受けた。

 滝川さんの演奏、夕の部は、懐かしいヒット曲「鈴懸の経」から始まった。五十畳ほどの座敷、天井が高く、滝川さんのクラリネットがよく響く。八木隆幸さんのスイング感あふれるピアノがからみ、これを中村尚美さんのしなやかな指が弾き出すベースのリズムがしっかりと支える。
 「テネシーワルツ」や「アーリーオータム」「サマータイム」など、この季節にふさわしいスタンダード数曲。スイング・ジャズが、一輪挿しの飾られた日本家屋の雰囲気に、意外によく似合う。大げさにいえば「日本の伝統的空間」と「アメリカが生んだ最大の文化」の融合かな。懐かしさに浸り、ちょっと感傷的な気分にもなる。

 クラリネットはスイング時代の花形楽器。モダンジャズの時代になって、その地位を金管楽器に奪われたといわれる。滝川さんはスイングも吹けるが、クラリネットでチャーリー・パーカー以降のバップも演奏する。むしろ本領はモダンジャズにある。

 バップ・スタイルのクラリネットでは滝川さんが間違いなく日本のトップ・プレイヤーだろう。この日もパーカーの「ビリーズ・バウンス」など、バップの名曲も数曲演奏された。そして最後は、会場からのリクエストに応えて、モダンジャズの代表曲「キャラバン」で終わる。

 クラリネットという楽器が、古いスイングを懐かしむだけでなく、ジャズの先端に挑戦しうることを印象づける快演だった。

 古いお屋敷もそうなのかもしれない。伝統の保護と継承は大切だし、同時に、時代の変化にあわせて新しい様式を取り入れていかなければならない。まさに会場の雰囲気にふさわしい演奏内容だった。

 演奏が終わる頃、阪神タイガースのリーグ優勝が伝えられる。空が澄み、六万年ぶりの大接近を終えた火星が東南の空に輝いている。広い庭には本当に初秋を感じさせる涼風が吹いた。季節の変わり目の、心に残るコンサートだった。