| 鰯雲ひろがる秋のコンサート |
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「ヨーロッパと日本の良いよころを併せ持っている稀な知性と、音楽に人間性を持たせようという意志が彼の演奏には見られる」……これは高木氏が権威ある「エリザベート王妃国際音楽コンクール」で入賞された時、地元ベルギーの新聞が評した言葉です。
世界最高クラスの技巧と明晰さ、センスがこんなに若い人に宿っていることを、私たちは日本人として誇らずにはいられません。
秋からはドイツ・ヴェルテルベルクフィルハーモニーの首席コンサートマスターとして活動されることになっており、渡独準備でお忙しい日々の間を縫っての来演です。
また、今回は高木さんのご推薦で青山音楽賞を受賞されているハーピストの内田奈織さんにも特別にご出演いただきます。
この機会にぜひ、高木さんと内田さんの音の豊かさに触れてください。
高木さんの初めてのソロCDも、日本で手に入るのは桜の庄兵衛が皮切りとなります。 |
| 高木和弘 プロフィール |
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1972年、大阪生まれ。6歳よりヴァイオリンを始め、1991年、大阪府立北野高校卒業後、渡仏し、フランス国立リヨン高等音楽院に首席入学。同校ヴァイオリン部門を首席卒業後、渡米。今春まではアメリカのシカゴ・シヴィック・オーケストラのコンサートマスターを務める。
1997年度エリザベート王妃国際音楽コンクール入賞。1998年第54回ジュネーブ国際音楽コンクール ヴァイオリン部門第三位入賞(一位なし)など、海外・日本国内の数々のコンクールに優勝、入賞を果たしている。
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| 内田 奈織 〜Naori Uchida〜 プロフィール |
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京都府生まれ。
聖母学院高校を経て、東京芸術大学音楽学部器楽科卒業。
海川佳代子、篠崎史子両氏に師事。
福井ハープセミナーにて、E.フォンタン、M.アガザリャンに師事。
1998年、京都「青山音楽記念館バロックザール」でリサイタルを開催し、98年度青山音楽賞を受賞する。
第1回、日本ハープコンクールヤング部門入賞。第2回、第4回同アドバンス部門入賞。
1991年度京都芸術祭コニュニティ賞受賞。
日本ハープ協会、京都国際芸術協会、トゥルヴェール会員。 |
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| プログラム |
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M.ラヴェル ハバネラ形式の小品
黛 敏郎 「ROKUDAN」 (ハープ演奏)
J.Sバッハ 無伴奏ヴァイオリンパルティータ 第U番BWV1004より“シャコンヌ”
C.サン=サーンス ヴァイオリンとハープの為の 「ファンタジー」 Op.124
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| 日時 |
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2002/9/29(日)
昼の部 13:00開演
(12:30開場)
夕の部 16:30開演
(16:00開場)
●参加費 \2,500
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| 「夢の通ひ路」 ( 鰯雲ひろがる秋のコンサートを聴いて) 中西睦美 |
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庭の木犀には,小さな蕾がもう幾つもついている。
あと3日もすれば,あの優しい甘い風がこの庭を包むに違いない。
まだ匂いを放たないこの蕾を見るだけで,香りがよみがえる。目で見るだけ,音を聴くだけで思い出す香りというものがある。香りによって通り過ぎた昔の出来事が思い出される,そんなこともある。「香り立つ」ものには,何か特別な作用があるのかもしれない。
「鰯雲ひろがる秋」のコンサートは,まずは紫煙で粋に彩られる曲,ラヴェルのハバネラ形式の小品で幕を開けた。
静かに燻る煙草の香りの中に大人の男の情熱が秘められている,そんな気分で聴いてみたのだが,ヴァイオリンとハープ,この一見繊細な楽器から放たれる柔らかさ,しなやかな風合いの中に見え隠れする力強さがそうさせたのだろうか。
高木和弘さん,内田奈織さん。どちらも柔らかな,たおやかな印象の人である。
けれど演奏を聴けば,その柔らかさは,竹のようにしなる強さなのだと,解る。
ハープ独奏の「ROKUDAN」。箏の名曲「六段」の世界と西洋の楽器がどのように融合するのか,実際に箏によって奏でられる「六段」を思い起こしつつ,興味深く,聴く。
洋の琴によって紡がれていく箏の技巧が,調べが,「いとをかし」く心に響く。
きりっと引き締まった表情の内田さんは白いワンピースに身を包んでいるのに,なぜか平安の世の姫君に見えてくる。袿に焚きしめられた香が辺りにただよう・・・そんな心地がしてくるのが,なんとも不思議なこと!薫り高いひとときである。
「香り」は音と同じく「聞くもの」だという。今,音色を聴きながら香りを思うように,香りを聞きながら,昔聴いた音色を思い出す,そんなこともあるものだ。
そして「香り」を五感で味わうのではなく,その人自身が「香り立つ」,そんな印象を与える人に出会うことがある。高木さんというヴァイオリニストとの出会いに「香り」にまつわる記憶はない。しかしその音色,その演奏に,まさに「香り立つ人」という鮮烈な印象を受けた。そしてその印象は今も変わることなく,更に深みを増すのである。
パリの地下鉄構内を行き交う雑踏の中,ただひとり奏で続けるヴァイオリニストがいる。
映画「シャコンヌ」の一場面だが,桜の庄兵衛に集う人々は,彼らと違って全身を耳にしてヴァイオリンの音色を聴いている。バッハがひといきで書き上げた「シャコンヌ」を,高木さんはやはりひといきで思いの丈をぶつけるがごとく奏でるのだ。
祈り,敬意,悔恨や希望。神とバッハの対話がいっぱいに納められているこの曲を。
いつの間にか,辺りは夕闇が近づいてきている。西の空は朱に染まり始めている。
最後のプログラムはサン・サーンスのヴァイオリンとハープの為の「ファンタジー」。
「夢のように始まって,その中でいくつもの夢の情景が生まれ,現れ・・いつか夢は醒めたかにみえたが,実はまだ微睡みの中にいるような・・」木さん自身の言葉で語られるこの曲の世界に,今度はやはり演奏によって夢に導かれていく。
内田さんのハープが静かにロマンティックに歌い出す・・ヴァイオリンの音がそれに重なり,幾重にも夢が織り上げられていく。ただ音に身を任せ,音が紡ぐ夢の世界にたゆたうばかりだ。
そして・・夢のように,夢は醒める。
「香り」も「音」も一期一会のもの,二度と同じものに出会うことはない。しかし記憶に刻まれたそれらは,これからもなお胸の中で香りを放ち,奏でられるのだ。
今宵のコンサートも,きっとそんな風に思い出すのだろう。空の朱が闇色に濃さを増すのを見るとき,木犀のような,馥郁とした甘い切なさと,煙草のようなほろ苦さをまとって。
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