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2000年3月26日   Vol. 3     春らんまんコンサート
              関西フィルハーモニー管弦楽団のメンバーの方々をお迎えして
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春らんまんコンサート

「桜の庄兵衛」に、また音の名手たちをお迎えできることになりました.深く懐かしい香りの屋敷で、馥郁たる春と音楽を愉しむ催しです。ヴィヴァルディやモーツァルトの「春」を.はじめとした名曲の数々、そして懐かしいビートルズのナンバーなどもご堪能いただけますふ陽溜まりや優しい宵の風に包まれて、ヴァイオリンやヴイオラ、チェロの音色を心ゆくまでお楽しみください。

私が20年前(もうそんなに?!)廃しい高校生活を送った<桜塚>の地に建てられた桜の庄兵衛で初めてのコンサートをしてから早や1年が経ちました。
 最近は音響を売り物にした近代的ホールが増え、オーケストラでも普段はザ・シンフォニーホール等でのコンサートが多いので、古い民家での法楽四重奏はどのような音響になるのか心配しておりました。
 もともと弦楽器は楽器の中でも材料、造り、奏法ともあまり大きな変わりがなく、今でも弓は馬の尾の毛ですし、それに松脂(まつやに)を塗って羊の腸でつくった弦を弾いているわけです。楽器のボディをつくっている木も100年を超える年代物が多く、,よく乾燥した木材に何度も丁寧に塗られたニスによって独特の深みのある響き.をつくります.同じ造りの4つの弦楽器で奏でる弦楽四重奏は、自然の材料からできる暖かい人間的な響きがします。
 ですから、音響にも大きく左右されるわけですが、桜の庄兵衛の江戸時代からある古材の梁や柱が楽器の制作年代に近いせいか、この響きを何とも暖かくやさしく受け止めてくれて心地よいものにしてくれました。
 近代ホールとはまた違った、自然と長い年月からつくり出すこの屋敷と弦楽器のハーモニーを、今回も十分に堪能してください。

(日比浩一 関西フィルハーモニー管滋楽団コンサートマスター)
●プロフィール 日比浩一 コンサートマスター・第1ヴァイオリン
1984年京都市立芸術大学音楽学部卒業、同時に音楽学部賞を受賞。その後、神戸室内合奏団(現・神戸市室内合奏団)ソロ・ヴァイオリン奏者を経て、現在関西フィルハーモニー管弦楽団コンサートマスター、京都フィルハ−モニー室内合奏団客員コンサートマスター。これまでに神戸室内合奏団、テレマン室内管弦楽団、関西フィルハ−モニー管弦楽団と協演したのをはじめ、京都、大阪、神戸でリサイタルを開催。第32回全国学生音楽コンクール西日本大会第2位。94年4月より大阪成蹊女子短期大学助教授。(社)日本演奏連盟、宝塚演奏家連盟会員。

鈴木洋子 第2ヴァイオリン
東京生まれ。8歳でヴァイオリンを始める.愛知県立芸術大学音楽学部卒業、同大学院修了。桑原賞受賞。第1回中部読売新人演奏会に出演。85年、関西フィル八−モニー管弦楽団入団。

友永健二 ヴイオラ
大阪生まれ。9歳でヴァイオリンを始める.大阪外国語大学で中国語を専攻。93年に関西フィルハ−モニー管弦楽団入団。以来、オーケストラではヴァイオリン奏者として、室内楽ではヴイオラ奏者として活躍している。98年、リスト音楽院のマスターコースに参加。

大町剛 チェロ
京都生まれ。13歳でチェロを始める.京都市立芸術大学音楽学部卒業。92年、関西フィル八−モニー管弦楽団に入団日本で唯一のラテンオーケストラ「オオハシグランドオーケストラ」のギタープレーヤーとしても活躍している。
●プログラム
ヴイヴァルデイ 四季より「春」第1楽章
バッハ G線上のアリア
モーツァルト 弦楽四重奏曲卜長調K387
「春」(ハイドンセット第1番)
     〜休憩〜
ガーシュイン T've Got Rbythm
アイルランド良謡 ロンドンデリーの歌
ビートルズナンバーより Yesterday
All My Loving
久石譲 作品より 君をのせて(天空の城ラピュタより)
となりのトトロ
キロロ   長い間
    他
●日時
3月26日(日)  ◆
昼の部13:00〜15:00(12:30開場)
夜の部17:30〜19:30(17:00開場) 


春は弦楽四重奏とともに

「第2回 春らんまんコンサート」を聴いて

原 常郎(元桜塚高等学校教翰)
  「第2回 春らんまんコンサート 桜の庄兵衝」と独特の書体の墨字で手かれた模造紙が一枚、屋敷を囲む白壁の腰板に貼られてある。西洋の伝統的音楽様式である弦楽四重奏を、修復再生された江戸時代の庄屋屋敷で聴くという不可思議なコンサートへの案内である。石段を数段上がり、閂門をくぐり、飛石を踏んで中庭に入る。式台から座敷に上がると、襖や障子を取り外した五十畳程の大広間に聴衆が座布団を敷いて整然と座り、四人の奏者が譜面台を前にして椅子に腰掛けている。
 やがて、コンサートマスターの日比浩一氏の朴訥でユーモア溢れる解説と共に、ヴイヴァルディそしてバッハとバロック音楽の巨匠たちの聴き覚えのある旋律が流れ始めた。時代区分で言えば、初期バロック時代と江戸時代初期とは偶然にも重なっている。もしかすると、いま自分が居るのはキリシタンの里の庄屋屋敷、村の寄合に南蛮の楽士を招いての演奏会。初めて聴く異国の音楽に目を輝かせる村人たちの顔、顔、顔。ふと我にかえると、曲目はモーツァルトに替わっていた.心地よい音の響きは人間の途方もない空想カを刺激するようだ。
 いわゆるクラシック音楽を聴いていて、軽快で明確なテンポや優美で流簾な旋律の部分は楽しめるが、単調な音律が複雑多様に繰り返されるような部分は退屈だと感じていた。しかし、いつの頃からか、それぞれの楽器が紡ぎ出す音色の響き合い、音色と音色が織りなす微妙な空気の振動を楽しむことを覚えた。弦楽四重奏は四つの楽器が織りなす音色の多様性を楽しむ、文字通り音を楽しむ音楽のようだ。
 煎茶と干菓子での休憩のあとは、ビートルズナンバーや久石譲のアニメ映画主題曲など親しみやすい旋律が続き、座も一段とくつろいだ雰囲気になっていた。アンコールで美空ひばりの「川の流れのように」を弦楽四重奏で聴けるとは、思いもよらない素晴らしいフィナーレだった。
 風の強い薄さりの春の午後、久しぶりに速いなつかしい時空を流しているような想いに浸っていた。こうして昨年に続き今年もまた、私の春は弦楽四重奏とともに始まった。
 次回のプログラムはオカリナとギターのアンサンブルだ。土を素材とする楽器オカリナがr桜の庄兵衝Jの木の空間とどう響き合うのか、少しばかりオカリナを習う者として聞き逃せない楽しみな演奏会である。
             原 常郎(元桜塚高等学校教諭)